最近鑑賞した映画『見えない目撃者』は、視力を失った元警察官が、偶然耳にした事件をきっかけに、少女失踪事件の真相を追うサスペンス作品です。緊迫感のある展開と、視覚に頼れない状況だからこそ浮かび上がる「音」や「気配」の描写が印象的で、観客も主人公と同じ感覚で恐怖や不安を共有できる構成になっていました。特に、盲目であるというハンディキャップが、ただの弱点ではなく、鋭い洞察や観察眼へと繋がっていく点が魅力的でした。主人公が「見えないからこそ気づける」細部に真実が隠されており、その発見の瞬間に強い説得力を感じました。また、彼女を信じる人間が少ない中で孤独に立ち向かう姿には、ヒューマンドラマ的な深みもありました。物語後半では、連続殺人犯との緊迫した攻防が描かれ、視界を奪われたまま追い詰められる恐怖は、観る側に強烈な緊張感を与えました。犯人の狂気や冷酷さと、主人公の決して諦めない意志がぶつかり合う構図は、王道ながらも最後まで目が離せませんでした。一方で、物語の展開はやや定型的で、犯人像や動機にもう少し深みがあれば、さらに重厚な作品になったのではないかと感じました。しかし、テンポの良い演出と心理的なスリルは十分で、エンターテインメント作品として満足度は高かったです。
管理者の独り言
